【レビュー】ENDER LILIES
退廃的な世界観と、
ちょうどいい難しさ
BGMも含め退廃的な世界観の魅せ方が抜群で、探索しやすいユーザーに優しい設計。 難易度はそこそこあるが、理不尽ではない。クリアまで20時間以内の程よいボリューム。 子育て中のゲーマーにこそ刺さるインディーの傑作。
01 | どんなゲームか
「死の雨」によって滅びた王国「果ての国」を舞台に、少女リリィと不死の騎士たちの物語が始まるダークファンタジーの2DアクションRPG。 ジャンルはメトロイドヴァニアで、広大なマップを探索しながらボスを倒し、新たなスキルや移動アクションを獲得して進行範囲を広げていく。
BGMは音楽集団「Mili」が全楽曲を担当しており、ゲーム全体のトーンと見事に一致した音楽体験が得られる。 ソウルライクの戦闘システムとメトロイドヴァニアの探索が組み合わさった作品で、 Steam評価は全言語で「非常に好評」、44,000件以上のレビューを獲得している。
02 | 世界観とBGMの作り方が別格
退廃的な世界観のゲームは多いが、ENDER LILIESはその表現の密度が違う。 廃墟となった城や朽ち果てた村など、悲壮感が漂うフィールド。全体的に暗めの色調で描かれたビジュアルは、まるで静止画の絵画を眺めているような感覚を与える。
そこに重なるMiliのBGMが、本当に素晴らしい。 ピアノを中心とした優しくもどこか切なさを感じさせる旋律は、探索や戦闘を通じて物語の悲劇性を強調する。特定のエリアやボス戦では、音楽がその場の緊張感や感情の高まりを見事に表現している。 ボスを倒したときの感情が複雑なのも、BGMと世界観の作り込みゆえだと思う。
勝利と強化という本来喜ぶべき報酬が、こんなにも悲しいメトロイドヴァニアを他に知らない。 これは誇張ではなく、実際にそういう体験ができるゲームだ。
03 | 探索しやすいユーザーに優しい設計
メトロイドヴァニアの弱点のひとつは「取り逃したアイテムの場所を覚えていられない」こと。 ENDER LILIESはここへの対策が丁寧で、アイテム回収が済むと部屋の色がマップ上で変わる設計になっている。 これだけで探索のストレスが大幅に減る。
デスペナルティがなく、最終セーブ地点に戻されるだけ。回避の無敵時間も比較的長めで、理不尽に死なされる感覚がない。 難易度は確かにあるが「死ぬ前提で行動を覚えて突破する」という感覚が気持ちよく機能している。 Elden Ringで鍛えたゲーマーには「ちょうどいいくらい」の歯ごたえだった。
子育て中で「詰まってイライラしたくない、でも歯ごたえはほしい」という状況にもぴったりはまった。 20時間以内でクリアできる程よいボリュームも、セッションを細切れにしながら遊ぶのに最適だった。
04 | 各要素の評価
05 | 良いところ・気になるところ
- BGMと世界観の一体感が圧倒的
- マップ設計が親切でストレスが少ない
- デスペナなしで気軽に挑戦できる
- 20時間以内で完結する程よいボリューム
- ボスを倒したときの感情が複雑で深い
- 続編ENDER MAGNOLIAへの期待が高まる
- スキルの一部は使い所が限られる
- 周回要素はElden Ringほど豊富ではない
- ストーリーは断片的で自力考察が必要
06 | こんな人におすすめ・向かない人
- メトロイドヴァニア入門を探している
- 世界観・雰囲気重視でゲームを選ぶ
- 子育て中でまとまった時間が取れない
- 20時間以内で完結するゲームがいい
- Hollow Knightが好き・気になっている
- Elden Ringのような長期やり込みが目的
- 明快なストーリー説明を求める人
- 死にゲー要素が一切苦手な人
07 | ENDER MAGNOLIAもクリア済み
続編にあたる「ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist」もすでにクリア済み。 ENDER LILIESの世界観を引き継ぎながら、システムがさらに洗練されている印象だった。 ENDER LILIESが気に入ったら確実に続けてやる価値がある。
こちらについては別途レビュー記事を書く予定。
BGMを聴くだけで「あのゲームやりたい」と思わせるゲームは滅多にない。
ENDER LILIESはそれができる数少ない作品だった。
難しすぎず、短すぎず、世界観が圧倒的。
子育て中でゲーム時間が限られている今の自分には特に刺さった。
インディーゲームの良さを再確認させてくれた一本。
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