LLMをゲーム開発の
アイデア出しに使う
3つの方法
OllamaでローカルLLMを試し、ChatGPTやClaudeも使いながら、 VFXデザイナーとしてゲーム開発にどう活かせるか探ってきた。 「使えそうだった」と「まだまだこれから」を正直に書く。
そもそもなぜ試したのか
ゲームのVFXを作っていると、「このエフェクト、どんな方向性にしようか」で詰まる瞬間が定期的にある。 炎のエフェクトひとつとっても、リアル系・アニメ系・スタイライズ系で全然違う。 方向性が決まらないと手が動かない。
そこに「LLMに壁打ち相手になってもらえばいいんじゃないか」という発想が生まれた。 人間のチームメンバーに「こんな感じのエフェクトどう思う?」と気軽には聞きにくい場面でも、 LLMなら24時間いつでも付き合ってもらえる。
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Ollama(ローカル)——オフラインで動く安心感がある。 仕事の企画段階など、外部に情報を出したくない場面で重宝した。 日本語精度はクラウド系に劣るが、アイデア出し用途なら十分使える。
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ChatGPT / Claude(クラウド)——回答の精度・文脈理解ともに明らかに上。 特に「こういう雰囲気のエフェクトを言語化してほしい」という抽象的な依頼への応答が自然だった。 ただし業務の機密情報は入力しないよう気をつけている。
方法① エフェクトの方向性をLLMと壁打ちする
たとえば「和風ファンタジーの炎魔法エフェクト」を作るとき、 「和風」「ファンタジー」「炎」の3要素をどうバランスさせるかで悩むことがある。 そこでLLMにこう投げてみた。
・炎の中に文様・家紋モチーフのシルエットを入れる
・金・朱・墨の3色に絞ったカラーパレット
・炎が消える際に墨汁が水に溶けるような残像を出す
・パーティクルを桜の花びら型のスプライトにする
…など10項目
全部そのまま使えるわけではないが、「墨のにじみ風の輪郭」「家紋モチーフのシルエット」 はすぐに試したいと思えるアイデアだった。 自分一人でゼロから考えると同じ方向性に偏りがちなので、 LLMが出してくる意外な角度のアイデアが刺激になる。
方法② ブループリントのロジックを相談する
VFXデザイナーといえどもUE5ではBlueprintを触る場面が多い。 「Niagaraのエフェクトをゲームイベントに合わせて発火させたい」 「特定の条件でエフェクトの色を切り替えたい」といったロジックを、 コードが得意ではない立場で組もうとすると詰まることがある。
そこでLLMに「こういうことをやりたいが、どのノードをどう繋げばいいか」と 日本語で相談してみた。
2. Spawn System at Locationノードを追加
3. Niagara SystemにヒットエフェクトのNSアセットを指定
4. LocationにGetActorLocationを繋いで発生位置を設定
…実際のノード名まで具体的に教えてくれた
ノード名を具体的に出してくれるのが助かった。 「Spawn System at Location」という名前を知らないと 検索すらできないが、LLMに聞けば一発で出てくる。 「知らない言葉を知るための入口」として使うのが一番効いた。
ただし回答が古いバージョンのUE仕様に基づいていることがあるので、 そのまま鵜呑みにせず、実際に試して確認する必要がある。
方法③ 煮詰まったときの「視点変え」に使う
3つ目はアイデアが出なくて煮詰まったときの使い方。 「全然違う角度から考えさせてくれ」という雑な投げ方でも、 意外と使えるアイデアが返ってくることがある。
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「このエフェクト、ゲームのジャンルを変えたらどう変わる?」
アクションRPG想定のエフェクトをホラーゲームに転用したらどうなるか、を考えさせると新しい方向性が出てくることがある。 -
「このエフェクトの逆を作るとしたら?」
「炎の逆」「スピード感の逆」のように逆張りを考えさせると、対比によって元のアイデアが整理されることがある。 -
「子供向けにするとしたら何を変える?」
ターゲット層を変える制約を課すことで、色・形・スケール感の見直しができる。
正直なところ・まだまだこれから
「LLMを使えばアイデアが量産できる」というほど万能ではない。 特に具体的なビジュアルイメージを生成してくれるわけではないので、 最終的には自分の目と手で形にする必要がある。 あくまで「思考の補助輪」として使うのが今のところ正しい距離感だと思っている。
ローカルLLM(Ollama)とクラウド系(ChatGPT・Claude)を比べると、 アイデア出しの質はクラウド系が明らかに上。 ただしローカルの「情報が外に出ない」安心感は仕事では大きい。 用途によって使い分けるのが今のベストだと思っている。
次に試したいのはComfyUIと組み合わせて、テキストで出たアイデアをそのまま画像生成に流し込むワークフロー。 「LLMでアイデアを言語化 → 画像生成でビジュアル確認 → Niagaraで実装」という 流れが作れたら、VFX制作のスピードが変わりそうな予感がしている。 それはまたここに書く。
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エフェクトの方向性ブレスト——発散フェーズに特に有効。10個アイデアを出させて2〜3個使えれば十分。
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Blueprintのロジック相談——「知らない言葉を知る入口」として使うと詰まりが減る。鵜呑みにせず必ず検証。
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煮詰まったときの視点変え——雑な投げ方でも意外と使えるアイデアが返ってくる。
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万能ではない——ビジュアルを直接出してくれるわけではない。思考の補助輪として使うのが正しい距離感。
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